いろんなダイエット法があるけど、結局どれが痩せるのかわからない。
あなたがそう悩むのも無理はありません。専門家の数ほどダイエット法があると言っても過言ではないからです。逆を言えば、それだけ「正解がない」とも言えるのです。
今回は僕の指導経験を踏まえて「結局、どのダイエット法が一番痩せるのか」というテーマでお話しします。
ダイエットの基本をおさらい
本題に入る前に、基本だけおさらいしましょう。
ダイエットでは「体成分を意識しましょう」といつもお伝えしています。体成分とは、カラダを構成する4つの成分「体脂肪、ミネラル、タンパク質、体水分」のことです。綺麗に痩せるには、筋肉を減らすことなく体脂肪のみを減らすことが大切です。
ですので、ダイエットでは体重だけに注目してはいけません。必ず体成分のバランスを意識しながらダイエットするようにします。体成分について忘れてしまった方は、下の記事をお読みいただいてからまた戻ってきてください。

筋トレ vs 有酸素運動 vs 食事制限
それでは、本題に入りましょう。筋肉を減らすことなく体脂肪のみを減らすにはどうすればいいのでしょうか。
今回はダイエットの一般的な方法として「筋トレ」「有酸素運動」「食事制限」の観点から、次の組み合わせで考えてみることにします。
1. なにもしない場合
2. 食事制限のみ
3. 筋トレのみ
4. 筋トレ + 食事制限
5. 筋トレ + 有酸素運動
なにもしない場合
まず、なにもしない場合です。
なにもしないというのは、運動も食事制限もしていない場合のこと。普通に暮らしている感覚です。
基本的に僕たち人間は歳を重ねるごとに痩せていきます。生き物には寿命がありますので、成長期を越えてからは体が著しく成長していくということはありません。それは主に筋肉が減るからです。高齢者の方々をみていただくとそれは分かるかと思います。筋肉が減るにつれて、体重も減っていきます。
ただし、体重が増えるケースもあります。
それが、食べすぎている場合です。年齢に関わらず、太るか太らないかは食べる量が関係しているからです。高齢者の方々でも、あまり動かずに食べ過ぎている場合、体脂肪と体重は増える傾向にあります。
もちろん、運動はしていないという前提ですので筋肉は減っていきます。筋肉が減ると基礎代謝が低下しますので、さらに太りやすい環境が整うのです。
痩せるか痩せないかは、結局のところ「カロリーバランス」によって決まりますので、ご自身のカロリー消費量に見合ったカロリー摂取をしている限りは太ることはありません。
食事制限のみ
次に、食事制限のみの場合です。若い女性のダイエットに多い傾向があります。
食事制限だけで痩せようとすると、体重と体脂肪、筋肉がすべて減る傾向にあります。割と即効性がありますので、体重が減ると嬉しい気持ちになります。ですが、筋肉まで減ってしまうのでもちろん良い方法とは言えません。
人間は栄養が不足すると真っ先に筋肉を分解しようとするのです。筋肉が減ると基礎代謝も下がりますから、どんどん太りやすい体質へと変わっていきます。太りやすい体質というのは、つまり「今まで通りの食事をしていても太る可能性がある」ということです。そこまで食べる量は多くないのに少しずつ体重が増えている、脂肪が乗ってきたという方は注意が必要です。
そして、こうしたダイエットは一度や二度にとどまらず、少し体重が増えるたびに繰り返す傾向があります。この繰り返しを「プチダイエット」と呼んでいます。プチダイエットを繰り返すと、体重は減るので安心してしまいますが、それは筋肉が減ったことによるものなのです。ですので、食事制限のみで痩せることは、数多くあるダイエットの中でも最も注意すべきものです。
プチダイエットについてはこちらの記事に詳しく書きましたので、ぜひお読みください。

筋トレのみ
次に、筋トレのみの場合を見ていきましょう。
筋トレのみの場合、体重は増え、体脂肪はやや減る傾向にあります。「え、体重は増えるの」と思われるかもしれません。筋トレというのはあくまで「筋肉をつける運動」ですので、筋肉が増えれば当然体重も増えることになります。
ですが、体重が増えることと太ることはイコールではありません。太るというのはあくまで「体脂肪が増えること」だからです。筋肉が増えることで見た目は引き締まります。日本人女性のほとんどが「隠れ肥満タイプ」に分類されますので、筋肉をつけるだけでも引き締まったシルエットになっていきます。
注意していただきたいのが、筋トレの主な目的は「筋肉をつける運動」なので、体脂肪を減らす効果はそこまで高くないということ。逆に、痩せようと思って筋トレばかりしていると、ゴツい見た目になってしまうことがあるので注意が必要なのです。「でも筋トレだけで痩せた人もいますよ」という声もありますが、そういう人は筋トレだけで痩せているのではなく、筋トレとセットで食事制限をしているケースがほとんどです。ここは大切な部分ですので、次の項目で解説します。
筋トレ + 食事制限
では、筋トレと食事制限を組み合わせた場合を見ていきましょう。
本格的にダイエットに取り組んでいる方、特にパーソナルトレーニングに通っている方は、この方法を実践していることがほとんどでしょう。
筋トレと食事制限を組み合わせると、体重と体脂肪は減り、筋肉は増えていきます。理想的な形です。食事制限だけをすると体脂肪だけでなく筋肉まで減ってしまうとお伝えしました。そこで、食事制限に筋トレをプラスすることで、筋肉が減ってしまうことを防ぐことができるのです。筋肉に刺激を与えることで「筋肉は必要なものだから減らさなくていいよ」と体が判断するためです。
ただし、食事制限をしている関係で、著しく筋肉が増えるわけではありません。筋肉を増やすにはある程度のカロリーが必要だからです。あまり関係のない話ですが、コンテストに出るような選手も「しっかり食べて筋肉を増やす期間」と「食事制限と筋トレを組み合わせて体脂肪だけを減らす期間(筋肉は増えない)」に分けています。
なので、どちらかというと筋肉を増やすというよりは「筋肉を減らさない」というニュアンスで捉えていただくと良いかと思います。
【番外編】食事制限をオススメしない人
一見、効率の良さそうに思える「筋トレ+食事制限」ですが、すべての方におすすめできるわけではありません。食事制限が過度のストレスになってしまう方は注意が必要です。
日常的にストレスを抱えている人の中には、いわば「食事が癒し」「好きなものを食べることがストレス発散法」というケースも多いからです。きっとあなたもそういう経験があるのではないでしょうか。食事制限というのは、言ってみれば「食の楽しみが無くなること」でもあります。今までは食事によって心の安定が保たれていた人が、その楽しみがなくなってしまうというのは大きな問題につながりかねません。
最近では「○ヶ月で○○kg」のように短期間で痩せるダイエット法が流行っていますが、そうした方法は食事制限がセットになっているケースがほとんどです。「これを食べてください」「これは糖質が多いので避けてください」「毎日の食事をメールで送ってください」というような具合でしょう。先ほどもお伝えしたように、筋トレだけでは大幅に体重を減らすことは難しいからです。
まず、冷静になって考えてみましょう。あなたが目指しているものはなんでしょうか。もし、あなたが2ヶ月後にオーディションを控えていたり、ボディメイクのコンテストを目指すという「明確な目標」があるのであれば、それなりの苦痛には耐えられるかもしれません。好きなものを食べたいという欲望よりも、夢を叶えたいという欲望のほうが圧倒的に強いからです。
しかし、あなたがただ漠然と「痩せたい」「綺麗になりたい」「〇〇さんみたいな体になりたい」という動機の場合であれば、相当の精神的苦痛を味わうことになります。最初の数日は頑張れたとしても、そのうち頭の中は「あれが食べたい」という気持ちでいっぱいになることでしょう。仕事や人間関係、日常生活に支障が出てしまう方も少なくありません。コンテストに出るような方々も常に食事制限しているわけではなく、必ずチートデイやオフシーズンというものを設けているのです。中には、せっかく痩せたのに、リバウンドによってダイエットをはじめる前よりも太ってしまった、というケースも多々あります。
あなたが目指しているのは、3ヶ月後の自分なのか、それとも3年後の自分なのか。そのあたりをよく考えることも大切です。
筋トレ + 有酸素運動
最後に、筋トレと有酸素運動を組み合わせた場合を考えてみましょう。
「筋トレ + 食事制限」と同じように体重と体脂肪は減り、筋肉は増えます。筋トレは「筋肉をつける運動」、有酸素運動は「体脂肪を減らす運動」と考えてください。僕の指導ではこの方法をベースにダイエットをおこなっています。というのも、食事制限をする必要がないからです。ダイエットに失敗する原因のほとんどは「食事制限によるストレス」なので、この問題を避けることができるのです。
よく「有酸素運動はそこまでカロリーを消費しないから効率が悪い」と言われますが、もちろん食事制限に比べるとそうでしょう。運動で100kcalを消費するくらいなら、食事で100kcalを我慢したほうが手っ取り早いからです。ただ、それは「心」を無視した考えです。あくまで効率を優先し、生活の楽しみや人生の喜びを考慮していないことによる発想と言えます。僕のお客さまの中には、好きなものは食べたいからちゃんと運動で消費する、という考えの方が多く、そのほうが上手にダイエットできています。
また、有酸素運動が嫌いという方も多いでしょう。ただ、あなたが想像している有酸素運動のネガティブなイメージを一度リセットしてください。それはきっと体育の授業や部活動で刷り込まれたキツい経験に由来しているからです。そうではなく、街の景色を楽しんだり、外の美味しい空気を吸ったり、心地よい風を感じたり、有酸素運動というのは本来そうしたポジティブなイメージでおこなうものなのです。
ウォーキングや軽いジョギングからはじめてみましょう。そして、それだけで十分なのです。たまにゼェハァしながら走っている方がいますが、ダイエットの場合、息が上がるまで追い込むのはNGです。それでは長続きしませんし、余計にネガティブなイメージになってしまうからです。好きな音楽を聴きながらでもいいですし、走ったあとに好きなパン屋さんに寄ってみるのも全然アリです。長期的に見ると、そのほうが痩せやすいですし、はるかに健康的なのです。
どのダイエット法が一番とは言えませんが、僕の指導経験から言わせていただくと、この方法が一番うまくいっています。
今回のまとめ
今回は「結局、どのダイエット法が一番痩せるの?」というテーマでお話ししました。ダイエットはあなたのライフスタイルや好みに合わせておこなうことが一番です。
いずれの場合も、効率だけでなく「体と心を大切にすること」は忘れないでください。あなたがいつまでも女性らしく、そして健康でいられますように。
体の問題は「心の問題」であることがほとんどである。故に「心」を大切にすることがダイエットの前提であり、絶対条件である。